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原子力コミュニケーション・コアグル−プ設立会合議事録

 

日時:平成14年12月5日(木) 13:00〜16:00

場所:学習院大学 目白キャンパス 創立百周年記念会館4F 第4会議室

 

議事内容

 

第1部(13:00〜14:00)講演:平野浩(学習院大学法学部)

「原子力コミュニケーションについて今考えるべきこと」

1. 原子力に関するコミュニケーション問題としては,一般に原子力関係者と一般市民との間におけるもの(PR,リスクコミュニケーション等に代表される)が中心的な問題として取り上げられてきたが,実際には,今日これ以外にもコミュニケーションの問題は多くのアクター間に存在している。例えば,事業者と規制官庁,技術部門と管理・行政部門と広報部門と立地部門、技術部門内部、サイトと都市(関係者に関しても一般住民に関しても),などの間においてである。これらのコミュニケーション問題にはそれぞれ独自の要因が関係している――例えば相互の不信や緊張感の欠如など――と思われるが,そうした要因を一つ一つ明らかにした上で,問題解決を図っていく必要がある。

2. 原子力に関するコミュニケーションの問題にはマスメディアを含め,様々な社会的な装置画家変わっており,その影響なども含めて情報の伝達について考えなければならない。特にマスメディアに関しては、メディア自体が持つ心理と論理、また受け手の論理や心理をも考えた対応を考えるべきであり、その体質を批判するだけであってはならない。

3.    原子力に関するコミュニケーションニ関しては,これまでにもかなりの研究の蓄積があり,まだ多くの提言もなされてきた。しかし今日,こうした研究結果や提言を生かした効果的なコミュニケーションが行われているとは言い難い。その原因について謙虚に振り返り,その上で望ましいコミュニケーションを実践的に作り上げていくことが必要だ。具体的には研究自体に内在する問題点や、それを利用する側の問題点などを改めて考えるべき時期に来ているのではないかと思われる。

 

討論

    より良い原子力コミュニケーションの方法,提案が研究されているのに,現場で生かされていないのが現状である。それがなぜかを考え,議論していかなければならない。

    東京大阪などの大都市では,電気の主要消費地であるにも関わらず,大部分のひとは,原子力ということを知らないし,意識もしていない。その状態を打開するために,このグループで議論し,実践していく必要がある。

    それぞれの目的によって,科学技術をどのレベルまで伝えるべきかも考える必要がある。例えば,住民投票での賛否と普段の意思決定では,ちがった考えが出る可能性がある。

    東京電力のプルサーマル採用に対する刈羽村の住民投票,中部電力の海山町で住民投票など,住民投票が行われる傾向にある。十把一絡げに対応するのではなく,それぞれの問題に適した対応が必要である。

    現場で説明すると一般の方も本質を理解してくれる。会社の置かれている立場を理解してくださり,同情さえしてくださる方もいる。マスコミの報道との情報の差は何なのか考えていかなければならない。マスコミは面白おかしく書かれてしまうため,今まで築き上げてきた信頼も壊されてしまう。

    プルサーマルの住民投票は,政治的な背景も住民にしこりを残す原因の一つになっている。

    プルサーマルについては,技術論になっていくと,賛成派の方にも不安感を残す説明しかされていなかった。

    原子力については,電力消費地と生産地の意識の地域格差も絡んでくる。消費地である大都市は生産地に謝意を見せていないと,生産地域の方は捉えている。交付金等,恩恵を受けているという情報も,多く出すべきだ。

    原子力は政治活動の材料にされやすい。特に保守派対立の時に,推進派・反対派の判断の基準にされやすいことが内在していることが,技術者の中の認識に欠けている。このようなことは,地方紙では詳しく報道されているが中央ではまったく分からない。

    中国のエネルギーの中に原子力が重要なものとなっている。中国国民の意識調査では原子力発電推進が70%だが家の近くに建設することに対しては賛成は35%にとどまる。民衆の合意なくして原子力はなしという考えから,原子力の必要性と環境への貢献を訴えている。この際,中国の広い国土に訴える方法として,ITを活用している。

    コミュニケーションのあり方を細分化して役所当たりにぶつけていく必要がある。

    これまでの学会では,活動項目として最後の一つに社会との関係という項目をあげてきた。この意識を1つ目ないし2つ目に持ってくる気構えが必要である。

    広報・広聴といわれているが,本来広報という言葉の中に広聴も含まれているはずである。あらためて,広聴と言う言葉を取り上げると言うことは,今まで無視してきたことの表れである。国民理解という言葉が出ているようでは,問題は解決しない。理解して頂くのは困難なので,信頼していただくというのが大切である。

    事件のことを調べたいと思って原子力学会のHPを見ても,見たい情報がどこにあるのか分からないし,欲しい情報がない。改善の余地がある。

 

第2部(14:00〜16:00)

1.基本的活動内容の確認(傍島)

 (1)「原子力コミュニケーション」コアグループ準備段階の経緯

                         2001.12準備会合

                         2002.3原子力学会春の年会の部会総会でオーソライズ

                         2002.1〜月1回の頻度で勉強会実施

                         2002.5趣意書文面作成し、新たな活動メンバー募集。

 (2)活動内容の紹介、確認(趣意書に基づく5つのチーム)

(a)                  従来の原子力広報が画一的で与える側の都合で決めていたことや、安全神話の信用を失っている等の課題について考えていこうとするもの。

(b)                  原子力に関して偏った報道を直していきたい。徐々に原子力の理解者を増やしていくのが目的。共同通信社の元科学部長を通じ、論説委員を対象に講演会形式で行う計画。テーマ案としては、@原子力発電の行く末を考える、A地域共生の現実の課題を考える、B地球温暖化に原子力は有効か、Cプルトニウムリサイクルは急いでいるのかなど。

(c) 立地地域の電力構造を分析しつつ、原子力立地に関する政治決定過程を調査、提言していこうというもの

(d) 原子力以外の産業におけるリスクの処理方法、社会対応方法を原子力との対比によって明らかにし分析提言していこうとするもの

(e) generalな原子力の社会受容につながる社会的コミュニケーションのあり方の研究、提言

(3)  日本原子力学会チェインディスカッション(CD)への寄与

2002年秋の大会」におけるCDは原子力コミュニケーション・コアグループの企画で実施された。

アンケート結果の参加者の傾向と意向並びに雑誌「エネルギー」が取り上げた記事が紹介された。

尚,次回「2003年春の年会」においてのCDも原子力コミュニケーション・コアグループが企画・実施する。

 

 2.自己紹介

    設立会合出席者が,それぞれ自己紹介を行った。

 

 3.質疑応答

 ・(b)は話が大きすぎてコアグループではなく、原子力学会全体で考える話だと思うがいかがか。また委員の先生への根回しにも時間がかかるのでターゲットを決めた方がよい。

  →素案を本グループで作成し、その後は少なくとも社会環境部会からあげるものと考えている。また、話は既に企画委員会にはしている。説明対応などは全体から人選する。

(e)は他と比べると範囲が広いが、テーマを絞り込んでいるのか

  →(a)〜(d)の総論的な意味合いになっている。他の実践的なテーマに対し、基礎研究的、理論的である。

    (d)はリスクコミュニケーションのことを言っているのではないのか

 →あくまでリスクコミュニケーションは実践手段の一部である。言葉としても問題がある。

    リスクコミュニケーションは製薬業界などでも盛んに使われているので、原子力の場合どうなのかを詳しく定義する必要がある。また、リスクコミュニケーションは外の人だけでなく、原子力学会内部のコミュニケーションも入るので、例えばどういう住民投票のやり方を国として考えているのか等を学会の中で考えていってもらいたい。

 →チーム活動の中から提案していくようにしたい。

    内部のコミュニケーションの重要性はJCO事故の例をとっても顕著である。

    規制する側と規制される側がコミュニケーションをしてはダメだ。

    読みやすい冊子というのはどんなイメージか。各事業者が作っているものと違いをだすのか。

→部会としての独自のものが出せるとよい。作業を進めていく中で、冊子の形がいいのか、HPによるべきか検討もしていただきたい。

 

4.リーダー交代及び参加者チーム分け

 ・別府コミュニケーションコアグループリーダーの辞退に代わり、傍島氏が選任された。

 ・平野リーダーは学内の都合により来年3月いっぱいでリーダーを交代する。後日選任。

 ・事務局は引き続き坂井、吉岡が務める。

 ・各自の希望により分けた活動チームメンバーは以下の通り

(a)・・・○斉藤、堀江、江守、高安、下岡

(b)・・・○田中(治)、三谷、副島、堀江、江守、倉重、河野、斉藤、杉

(c)・・・○田中(靖)、副島、堀江、江守、河野、杉

(d)・・・○江守、辻、高安、下岡

(e)・・・○田辺、堀江、江守、伊東、田中(靖)、倉重、斉藤、下岡

各チーム○印はチーム世話人

なお、本日欠席者の希望も伺って各チーム構成を固めることとし、それぞれ活動を開始する。

以上

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原子力コミュニケーション・コアグループ会合(第2回)議事録

 

日時:平成15年3月11日(火) 15:00〜18:40

場所:学習院大学 東2号館8階 法学部第2会議室

参加者:平野,傍島,河田,斎藤,柴山,杉,田中(靖),田辺,別府,堀江,宮沢,吉岡(記)

(敬称略)

 

議事項目:

1.話題提供:「安全・安心・コミュニケーション」 河田東海夫氏

2.原子力コミュニケーション・コアグループ世話人会合メモの確認

3.日本原子力学会 春の年会特別セッション「東電問題の要因」へのコメント

宮沢社会・環境部会長

4.日本原子力学会 春の年会CD準備について(アンケートの作成)

5.各チームの活動状況および計画について

6.コアグループリーダーの紹介

7.自由討論

 

議事内容:

1.     話題提供:「安全・安心・コミュニケーション」 河田東海夫氏

原子力に関する一般人の平均的見方は,「これからも原子力は必要そうだが本当に安全なのだろうか」,「チェルノブイルのような事故は起こらないのか」,「放射性廃棄物の問題はどうなっているのだろうか」,「放射能や放射線はとにかく怖いのだ」といったようなものである。これまでの研究も踏まえ,今後原子力が受け容れられるようになるには,どのようなことが必要なのかを考えていく。

まず,目標を明らかにするために原子力受容の基本構造を定義していくと,@「安全性の理解」およびA「組織,体制への信頼」からくる「安心」と,B「社会的ニーズ」およびC「個人,地域への恩恵」からくる「有益」,その双方があっての「受け入れ」となっていることが浮かび上がってくる。さらに,特に「安心」にかかわる,2つの項目@「安全性の理解」およびA「組織,体制への信頼」について,深く掘り下げていくと次のようになる。

@「安全性の理解」については,その下位層に「正しいリスクの認識」,「ハード的安全対策への理解(安全設計)」,「ソフト的安全対策への理解(制度,組織,その他)」といことが存在する。また,A「組織,体制への信頼」については,「安全を守る能力への期待」,「法律などの歯止めによる安心(assurance)」および「信頼(trust)」からくる「安全を守る意図への期待」が存在する。さらに「信頼(trust)」は情報依存型のもと,情報に依存しない一般的信頼というものに分けられる。

それでは,原子力受容への理解醸成のためには,今定義した基本構造のどの要因に働きかけるのが有効なのだろうか。これは,相手により「攻めどころ」は異なるし,情報発信側の立場によっても異なってくるが,阻害要因の大きなものは,情報の発信側と受け手側の安心に関しての情報の受け止め方のギャップである。情報発信側が受け手にある程度信用されていないと共感を得られないし,両者のリスク認識が大きくずれていても,安全は理解されない。そこで,原子力コミュニケーション・コアグループでは,どうしたらこのギャップを埋められるかを議論していくことが必要であろう。

 (議論)

 まず,原子力にあまり興味を持っていない一般の方々に興味を持っていただくには,どのようにしたらよいかも考慮しなければならない。

 そして,情報を発信するときには, 原子力技術者の落とし穴である考え方,例えば発電所構内で火事が起きたとしても放射能が出るような事故ではないから安全だという考え方に気をつけなければならない。一般の方は,火事の延長上に放射能漏れへの不安を考えるということを忘れてはいけない。

 原子力利用への信頼は,情報に依存するところが大きい。例えば,JCO事件時の放射能測定などは過大調査であったというような正確な情報を出していく必要がある。

 信頼の構造の議論として,これからの社会は安心社会から信頼社会へというのがある。しかし,ここでいう安心社会とは,お互いの弱みを握り合っているために相手が裏切らないという社会であり,信頼社会とは,個々人自らが相手が信頼できると判断できる能力をもち相手を信頼するという社会であることに注意しなければならない。原子力の基本構造でいう,安心とは異なるものである。

 やはり,情報発信時には,受け取る側の各個人がどこに重要視を置いているのかを聴きながら,各個人に適したコミュニケーションを考えていく必要がある。今後の,原子力コミュニケーション・コアグループの議論していくところはそこにあるのだろう。

 

2.     原子力コミュニケーション・コアグループ世話人会合メモの確認

コアグループリーダーより,27日に開かれた世話人会合の議事内容の紹介および確認があった。次のような質問があった。

  (確認事項1)議事録等のHPへのアップについては,どのようにするのか。

   ⇒企画小委員会で決定した手順に沿って、事務局にアップを依頼する。

  (確認事項2)各チームの自主的活動目標とは,どういうことか。

   ⇒各チームの趣意にもとづいて目標を設定し,活動を行っていくことをさす。

  (確認事項3)資金源について。

   ⇒準備の整ったテーマがあれば積極的に,公募研究に応募する。

 

3.     日本原子力学会 春の年会特別セッション「東電問題の要因」へのコメント

宮澤社会・環境部会長より,春の年会特別セッション「東電問題の要因」でコメントされる社会の捉え方とコミュニケーションの内容の紹介があり、用語等についての指摘を取り入れることで了承することになった。

 

4.     日本原子力学会 春の年会CD準備について(アンケートの作成)

日本原子力学会 春の年会社会・環境部会主催第10回チェインディスカッション(CD)「原子力発電は地域にとって有益か」は,当コアグループの提案であるため,CD後のアンケート用紙の作成も当グループで行うことにした。その内容の,議論を行った。

 

5.     各チームの活動状況および計画について

(1)  広報チーム

4月に第1回会合を開催予定。

これまでの広報の方法の何が問題なのかを明確にし,目標をたてる。

(2)  メディアチーム

マスメディアとの意見交換会を実施できるように準備をしている。

まずは,専門家に話を伺う勉強会を近日中に開催予定。

(3)  立地チーム

立地において何が問題かを議論する勉強会を4月に実施する。

(4)  リスクチーム

4月に第1回会合を開催予定。

(5)  社会チーム

314日に第2回会合を開催。第1回会合時の議論を踏まえ,今後の活動目標を明確にする。

 

6.     コアグループリーダーの改選

4月から,コアグループリーダーが平野浩氏より,伊東慶四郎氏に引き継がれることの提案があった。ご本人は,ご都合により欠席のため,傍島氏より伊東氏からのメッセージの紹介があり、新リーダとして承認された。

また,平野氏より,コアグループ立ち上げメンバーの方への御礼と退任後もメンバーとして活動するとの挨拶があった。

 

7.     自由討論(チームへの所属について)

各チームの会合および勉強会の案内は,原則的にコアグループメンバー全員にすることとし,各チームの目標・活動が明確になった時点で再度チーム所属への希望をとることにする。

 

8.     配布資料

(1)  「原子力コミュニケーション・コアグループ会合開催のお知らせ」

(2)  「安全・安心・コミュニケーション」

(3)  「裁かれる『青い閃光』 臨界事故判決を前に 上」(茨城新聞H15.2.27)

(4)  「原子力コミュニケーション・コアグループ世話人会合メモ」

(5)  「原子力学会春の年会(佐世保) 特別セッション案 (2003.1.14)

(6)  2003年春の年会CD準備について」

(7)  「アンケート調査についてのお願い()

(8)  「コミュニケーションコアグループaチーム活動計画()

(9)  「マスコミとの意見交換会について」(b)メディアチーム

(10)「c立地チーム勉強会のお知らせ(4月)」

(11)「eチームの計画について」

以上

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原子力コミュニケーション・コアグループ会合(第3回)議事録

日時:平成15年6月10日(火) 13:00-16:40
場所:日本原子力学会会議室
参加者:傍島リーダー,伊東リーダー,江守,小西,副島,宅間,田中(治),田辺,堀江,三島,宮沢,三谷,吉岡,坂井(記) (敬称略)

議事項目:

1. 日本原子力学会 春の年会CDの総括と今後
2. 各チームの活動状況および計画について
3. 話題提供:「リスク論に基づくエネルギー外部性研究のスコープと現状」 伊東慶四郎氏

議事内容:

1. 日本原子力学会 春の年会CDの総括と今後

日本原子力学会 春の年会社会・環境部会主催第10CD「原子力発電は地域にとって有益か」は,当コアグループの提案であったが、他の発表、催し物と時間帯が重なったことで、参加者が108名と少なかった(第9回CDでは約250名)。アンケートについても、途中入退場する人が多かったこともあり、回収できたのは35名と回収率も悪かった。詳細な議事録は、既にホームページに掲載されているので、参照のこと。

次回の秋の大会(静岡)のCDは、社会・環境部会、ヒューマン・マシーン・システム研究部会、倫理委員会の合同セッションになり、時間もたっぷりとれる。配布資料9の通り、テーマは「停電の危機に学ぶ〜原子力に対する信頼回復は進んだか」で、講演者は現在交渉中。

2. 各チームの活動状況および計画について

(1) bメディアチーム
チーム世話人田中氏より報告。5月28日、核燃料サイクル開発機構の久保広報部長によるマスコミ対応の経験に関する講演会実施。その際に行った議論をふまえ、それまで検討されてきた内容を集約したものを、今後のチーム活動として提案された(配布資料4)。
 議論の結果、今後の活動として提案のあった(1)と(3)を統合し、あるテーマを題材に「説明会+意見交換会」を実施する方向で準備することとなった。なおその際のテーマはこちらからいくつか用意し、マスコミ側に選んでもらう形を取り、数回のシリーズで連続性を持たせて実施することとする。対象は、原子力発電所をかかえている地元紙等地方のマスコミ。

(2) c立地チーム

チーム副世話人副島氏より報告。4月17日、第1回勉強会を実施。住民投票制度化に対する論点、今後発生する立地に関わる問題について議論を行った。7月3日、第2回勉強会として、過去立地を実務として苦労された方に講演頂くことを目的として、TEPCO銀座館の銭谷副館長に、過去の立地の教訓から学ぶものについて講演会を実施予定。
いつまでに何をまとめていくか模索状態で、勉強会を通じて考えていきたい。

(3) dリスクチーム
チーム世話人江守氏より報告。4月4日、第1回勉強会を実施。今後「原子力コミュニケーションが直面している問題は何か」を明確にすることを掲げる。議論の中で出された意見は次のとおり。
・リスクコミュニケーション(RC)にとらわれず、他産業のコミュニケーション全般を対象とすべきかどうか。
・コンセンサス会議を取り入れてみてはどうか、
・米国で25年間新規プラントを開発できないこととして、政治(社会)リスク、投資リスクが関与している。日本もその方向に向かいつつある。
・全てのリスクを金額で表す方法の議論がある。お金のかかるリスクは優先的につぶすべき。
・例えば巻原子力発電所の開発で、東北電力がいくらかかったのかを開示していくことが必要ではないか
次回会合は、8月ごろ予定しているが未定。

(4)e社会チーム
チーム世話人田辺氏より報告。今までに3回の会合を実施。議論の成果を高めるために、テーマを絞り込む必要性をあげ、テーマ選定案として、3案を提示。議論の中で出された意見は次のとおり。
・情報窓口の一元化を提言とあるが、提言ではなく、現状社会受容に対し、どういう所までコミュニケーションしているかを明らかにしていくこと。
・原子力情報の一元化は無理。窓口はどこか整理することは良い。しくみ(どこにどういう情報があるか)の提言をすべき。
・日本でコミュニケーションがうまく行った例として、「遺伝子組み替え」のコンセンサス会議がある。これなど研究する余地がある。
・テーマについては、トッププライオリティを考え、短期的目標では決まった期間(例えば2年)でまとめ、学会の総論セッションで発表するなどすべき。
次回第4回会合は、7月18日午後2時〜5時日本電気協会会議室で開催。

3. 話題提供:「リスク論に基づくエネルギー外部性研究のスコープと現状」 伊東慶四郎氏

・原子力学会、原子力エネルギーの外部性研究専門委員会主査の立場で、原子力総合シンポジウムで発表した内容。
・環境リスクの経済的評価についてはExternE研究が著名であるが、この研究は、近年の3大環境問題(大気汚染による健康環境影響、放射線汚染影響、地球的規模の環境問題)を背景に開始されたものである。
・環境リスクの社会への説明責任を果たしていくことが必要であるが、制度的な義務づけを行っている欧米に比べ、日本は著しく立ち遅れている。
・昨年原子力学会に原子力エネルギーの外部性研究専門委員会を設置。リスク論に基づくエネルギー外部性やそのガバナンスのあり方に関する研究の日本での定着が主な狙い。
・エネルギー外部性研究の究極の目的は、社会の適切な意思形成の支援。
・外部性には3つの概念(技術的外部性、金銭的外部性、社会的・政治的・制度的外部性)があり、政府、関係学会及び企業が、エネルギー政策や原子力政策に関する公衆への説明責任を果たし、電気事業経営に対する公衆の信頼回復上、不可欠な学術的基礎概念である。
・技術的外部性の負の効果として、大気汚染による健康・環境損害や温室効果ガスによるグローバルな気候変動障害があげられる。
・金銭的外部性の負の効果としては、原油等の供給削減・中断の波及影響、JCO臨界事故時の風評被害、米国カリフォルニア州における電力危機時の波及損失などがあげられる。
・社会的・政治的・制度的外部性は、規制関連行為やメディアの配慮に欠けた報道等が、市場を介することなく地域住民や一般公衆の社会心理や行動に波及的な影響を及ぼす現象(例えばJCO臨界事故時の10km屋内退避勧告と消費者等のリスク回避行動、TV朝日による所沢の野菜ダイオキシン汚染報道)。重大な社会問題化に至るケースが多い。
日本はエネルギーセキュリティ意識の薄さが問題。プラザ合意までは真剣に考えていた。
・エネルギー外部性研究推進上の今後の課題としてあげられるのは以下の通り。
 @大気汚染損害の広域的な影響解析システムの開発や、不確実性の低減化に向けた気候変動損害研究等の環境リスクに係る研究開発
 A
エネルギーセキュリティ上のリスク、リスクの社会的ガバナンスの枠組み、公的な研究開発投資リスクに関する評価研究の推進
 
B内閣府レベルでの外部性研究戦略の策定、また(広い範囲の)アカデミーレベルでの研究連絡会の設置及び多角的な学術研究の推進
4. 配布資料

(1) 「コアグループ第3回会合のお知らせ」
(2) 「日本原子力学会社会・環境部会、第10回チェインディスカッション議事概要
(3) 「第10回チェインディスカッションアンケート結果」
(4) 「(b)メディア対応チーム活動の提案」
(5) 「(b)メディア対応チーム、講演会、意見交換会の記録」
(6) 「(c)立地チーム勉強会(第2回)開催ご案内」
(7) 「(d)チーム(他産業のRCとの対比・分析)の活動実績・今後の方針について」
(8) 「(e)チームのテーマ選定について」
(9) 「合同企画セッション、第11回チェインディスカッション」
(10)リスク論に基づくエネルギー外部性研究のスコープと現状」

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原子力コミュニケーション・コアグループ会合(第4回)議事録

日時:平成15年10月15日(水) 10:00-12:40
場所:日本原子力学会会議室
参加者:傍島リーダー,伊東リーダー,小西,斉藤,下岡,杉,田中(靖),田辺,堀江,三島,三谷,坂井(記) (敬称略)

議事項目:

1. 話題提供:「連続する事故・事件と社会の受け止め方の分析(メディア問題を含む)」  下岡浩氏
2. 日本原子力学会 秋の大会チェインディスカッション、アンケート結果の総括    3. 各チームの活動状況および計画について                     

議事内容:

1. 話題提供「連続する事故・事件と社会の受け止め方の分析(メディア問題を含む)」         下岡浩氏(エネ総研)

・紹介内容は、JCO臨界事故、東電問題などの事件が、公衆にどのような影響を及ぼしたかという観点で、朝日新聞社、社会経済生産性本部、INSS、エネ総研及び経済広報センターが行った世論調査、アンケート意識調査について分析、考察を加えたもの。

・アンケート結果を考察する際には細心の注意が必要(朝日新聞の世論調査の例で、「原子力発電を推進することに賛成か反対か?」との問いの結果のみで、『公衆は原子力発電の推進に反対する人が多い』と結論付けるのは早計。「原子力発電の廃止に賛成か反対か?」という問いにすれば、結果は逆転していたものと思われる。

・朝日新聞の世論調査では、原子力に対する態度がチェルノブイリ事故により大きく悪化し、その後は有意な変化はないとの結果がでている。また社会経済生産性本部の調査では、東電問題前後で悪化しているが、現状維持までを含めた「推進割合」は変化なしとの結果。

・社会経済生産性本部、INSSの調査では、事故、事件により原子力発電の「安全性」は変化する(特に今まで原子力に肯定的で安心していたグループの態度変化が大きい)が、「必要性」はほとんど変化しないことが特徴。

・原子力を「有用だが不安なので廃止」「不安だが有用なので推進」と感じている層に着目し、この層の推進派と廃止派の増減が全体の増減に関係していることから、重点的な広報活動を行うことが望ましい。

・原子力に対し不安があっても、信頼感が増進すれば安全だと思える。信頼感と無事故が公衆に安心感を持ってもらうために重要である。

・女性は男性に比べ原子力に対する関心が低い(肯定的意見が少なく、中間回答が多い)。

・原子力報道に限らず、マスコミに誤報、無理解はつきものであり、マスコミに対して原子力の勉強をすべきだという前に、原子力関係者はマスコミの勉強をすべきである。

・人々の意思決定に大きな影響を与えるのは、対人・双方向のコミュニケーションであり、広報は一方的に情報を公衆に与えるのではなく、公衆からの意見や考え方を聴き、自己改革も行う継続的な対話関係が重要である

<質疑、コメント>

・社会という大きなマスは、(原子力の推進如何について)そんなに一方的な方向に偏らない。リーズナブルな揺れ方をし、極端な揺れ方はない。日本国民は意外と冷静だということ。

・(別配布した2枚物の図に関して)原子力発電の必要性の経年変化について、1996年に「必要性」が急に上昇している理由は。

 →もんじゅ事故が起こった後であるが、理由は判明できていない。

・(P15の)関心ある事柄の設問は、どのような聞き方をしたのか。

 →選択肢の中から特に関心のある物5つを選択する形式

・聞き方が原子力に特化しているが、エネルギー全体にすれば結果も違ってくるのではないか。INSSの調査結果であるが、東電問題のインパクトが少ないのは、母集団が関西人だからではないのか。

 →これは表に出せない調査であるが、同じ調査を東京地区で行ってみたところ、関西と同じ結果になった。消費地では東電問題のインパクトは少ない。但し、立地地域には大きな影響を与えている。

・共通して納得して使える世論調査を定期的に行っているところはないのか。

 →誰が見ても納得できるアンケートを発表して欲しいのが本音。以前は総理府が調査を行っていたが、最近は行っていない。我々も調査を行っているが、公開できない

→確かに総理府が毎年世論調査を行っていたが、省庁編成時に質問の配分等で混乱が生じたことにより中止になっている。今後必要であれば、信用のおける第三者機関を新しく立ち上げる必要がある。

・よく(資料、調査結果は)外に出せないということを耳にするが、情報公開が叫ばれている中、非常に言行不一致である。不審につながり、極めて悪い影響を与えることになるような気がする。

10月より独立行政法人原子力安全基盤機構で広報を担当することになった。保安院の広報も以前はやや保守的であったが、意識改革(佐々木院長の影響)を行い、守りの広報から、マーケット論や消費者行動学を用いた、積極的に出向いて説明する方向に変わりつつある。また保安院は「安心」という言葉を安易に使うのではなく、安全の確保の積み重ねにより信頼を得、結果として「安心」につながると考えている。方法も原文振のような全国均一的な対応も必要であるが、保安院としては立地町村が求めるものを的確に捉え個別に伝えていこうとする方向に変わりつつある。そのため、立地市町村個別にニューズレターを配布したり、新聞の折り込み広告を利用したり、インターネットHPを改良したり、住民が何を求めているかを定期的にチェックしたり、保安官の1日をパンフレットにして配ったり、エネ庁、保安院、独立行政法人の関係をわかりやすく解説したり、これら情報の配信に際しては、受け取る側の理解度に応じて初級、中級、上級用に分けて送ることを考えている。このことは研究会での参考になると思い、保安院の計画を紹介した。詳しくは、学会として正式に問い合わせると説明してくれると思う。

・対立地市町村、対国民への広報政策は、確立したものを持つことが良い。下岡さんが提唱する原子力広報の15の留意点(p22)のうち、下4つが大切。例えばプレス発表文をそのまま読んでいる政府はダメ。3分間で話ができるようにトレーニングをするしかない。米国ANS、リクルート等はトレーニング行っている。世論調査しつつ各メディア用の戦術を用意しておくことが重要。あとはうそをつかない風土(見逃していた政府も含め)を業界全体に植え付けること。

・公開できないのは手続き上のことか、それとも初めから公開することができない調査をしているのか。

 →後者の方で、情報が漏れるのを恐れるためである。

・原子力eyeの山地先生の特集シリーズが打ち切りになった。なぜボツになったか弁明もないのはおかしい。

2. 日本原子力学会 秋の大会CD(静岡大学)アンケート結果の総括

アンケート回収できたのは59名分(配布部数は163)
特徴的なこととして、

・今回のテーマ(停電の危機に学ぶ〜原子力に対する信頼回復は進んだか)については、概ね肯定的で、興味を示している

・今後のテーマについては「コミュニケーション」「エネルギーセキュリティ」を希望する意見が多い。

・毎回出る意見として、最初の講演時間が長く、十分な議論ができなかった。4050代の参加者が多く、若い人が少ない。など

<質疑、コメント>

・問9の考察で、今後も平日の午後にCD開催する方向と結論付けるのはおかしい。今回のアンケートに回答していただいた人は全て平日午後に来られた方。来ていない人の意見は反映されていない。むしろ土・日開催希望が20%もいるところに注目すべき。

・原子力発電部会と時間がバッティングしたため、CDに出席できなかったとの意見もあり、今後の対策としてどう考えていくのか。

 →今まではプログラム編成会議にて各部会の枠取りをし、後日連絡するという形式。今後は各部会、企画委員会にて次回テーマ等の状況を把握し、プログラム編成会議に反映してもらう。

3.各チームの活動状況および計画について

(1) a広報チーム

 広報チーム世話人の斉藤氏より報告。

・本日第1回の勉強会を行う。講演者は、社会経済生産性本部の藤田部長で、「国の委託の原子力広報活動について」というテーマで講演いただく。さらに年内にもう1度勉強会を開催する予定である。

(2) bメディアチーム

 メディアチームの三島氏より報告。

・5月にサイクル機構の久保広報部長の講演会「サイクル機構におけるマスコミ対応の経験と今後への考察」を開催した。出席者20名弱。アメリカでの経験を生かし、アメリカと日本のマスコミの違い等機知に富んだお話をいただいた。

・現在メディアとの意見交換会を計画している。テレビ埼玉の方と最後のつめをしており、話がまとまり次第、メディアチーム中心に、コアグループの方にも案内を出す予定にしている。

(3) c立地チーム

 立地チーム世話人の田中氏より報告。

・7月にTEPCO銀座館副館長の銭谷さんの講演会「過去の原子力立地の教訓から学ぶもの」を開催した。話の内容としては、東電に関する立地サクセスストーリー(東電は9電力の中では比較的立地については問題がなかった)、東通・六ヶ所にどういう現実があったのか等

・現在計画しているテーマの1つは、高レベル廃棄物処分場として立地が進みつつある幌延(北海道、旧動燃の視点から考える)。立地チーム単独で行うのはもったいないので、社会・環境部会特別セッションレベルにしたい。

・もう1つはもんじゅ判決。若い行政法学者にとって、原子力の話題は驚くことが多く、原子力従事者はこう考えるということを勉強してなければコメントも書けない。法律は「科学」をさばけるのか、法律は科学技術を中心に使う「人」をさばく。原子力関係者の不満と法律学者の驚きなどが面白いのでは。

(4) dリスクチーム

 リスクチーム副世話人の小西氏より報告。

・8月に他産業のリスクコミュニケーションの動向として、三菱化学を調査した。原子力の方が規模、時間、金も大きく、特に参考になることはなかった。さらに調査機会があれば進めるが、病院の多発する医療過誤などに比べて、原子力は良くやっているとの感。

・次回勉強会のテーマとして、「リスクコミュニケーションのあり方について」(原電斉藤さん)及び「高レベル廃棄物における諸外国のコミュニケーション活動について」を予定している。

・規制側の広報が重要になってくる。米国NRCでは、技術やコミュニケーションスキルのトレーニングのカリキュラムを最大2年間、技術検査・審査員は日本の保安院と比べ3倍の人数で行っている。また、前NRCのジャクソン氏が来日し、規制サイドとしても経済性向上を図る努力をし、成果を上げているとのことであった。

 ()e社会チーム
チーム世話人の田辺氏より報告。今までに5回の勉強会を実施。前回(第5回)では、産総研の森専務理事(通産省出身、本年7月まではNUPEC専務理事)による「米国NEIの説明と議論」を行った。
・森専務理事は本年6月に米国出張され、NEI及びNRCを訪問し、NEIの活動状況及びそこで働いている人の意識を調査し、NEIは規制、政治、一般市民に対し、コミュニケーションに大変有効な役割を演じていることがわかった。
・eチームとして、規制側を入れたチェインディスカッションを主催してはどうかというチャレンジがあったが、日本では規制する側と規制される側との立場が違う。そういう意味で、産業界の意見を代表して言える、NEIのような機能が必要なのではないか。eチームとしては無理であるとの回答がなされた。
・コミュニケーションの問題点の解決及び議論の中で、情報公開が大変重要なポイントであることを認識した。
・次回会合は、1114日午後2時〜5時日本電気協会会議室で開催。テーマは情報公開に着目し、情報公開を行うことにより成功している浜岡原子力発電所の事例を中部電力の方に紹介いただき、議論を行う。

  今後のグループ活動の進め方について、及びチェインディスカッションのテーマ提案があれば、各世話人よりリーダーと事務局に送ることとなった。

4. 配布資料

(1) 「連続する事故・事件と社会の受け止め方の分析」下岡浩(エネ総研)
(2) グラフ「原子力発電の必要性・経年変化」
(3) 「第11回チェインディスカッションアンケート結果」
(4) 「a広報チーム活動計画」
(5) 「独立法人原子力安全基盤機構の設立について」
(6) 「広報活動特別作業班報告」NRC資料
(7) 「米国の原子力再生を促進させる提案」米国原子力学会副会長Larry R, Foulke氏
(8)「 ジャクソン元NRC委員長の講演記事」H15.10.10電気新聞
(9) 「e社会チーム報告」

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