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概要
我が国の低レベル放射性廃棄物のうち,主に原子力発電所の運転に伴って発生する放射能レベルが比較的低い廃棄物については,ピット処分施設の操業が1992年に開始され,現在も継続されています。また,発電用原子炉施設の廃止措置などによって発生する放射能レベルが極めて低い廃棄物は,トレンチ処分施設に埋設処分することができ,その先行事例として,旧日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)の解体コンクリート廃棄物の埋設処分があり,これは1996年3月に操業が終了し,既に覆土の施工が実施され,現在は保全段階に入っています。また,商業運転を終えて廃止措置を実施中の原子力発電所において,廃止措置に伴って発生する放射能レベルが極めて低い廃棄物を対象とする埋設処分の事業許可申請を既に行っている事業者もあり,トレンチ処分施設の必要性は高まってきているといえます。ピット処分とトレンチ処分は総称して浅地中処分と呼ばれ,廃棄物を埋設設備あるいはトレンチに定置する操業が終了した後は,これらの施設の埋戻し(この標準では“覆土の施工”といいます)を行い,一定の期間は施設の管理を継続することが法令で義務付られています。
この浅地中処分に関する法令については,2011年3月の東京電力福島第一発電所の事故を契機とする原子力施設全般の法令改正の一環として,2013年12月にピット処分及びトレンチ処分を対象とする「第二種廃棄物埋設施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」が制定されるとともに,2014年6月には,“核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第二種廃棄物埋設の事業に関する規則”も改正され,新たな規制基準が定められています。
一般社団法人日本原子力学会では,低レベル放射性廃棄物の埋設施設の埋戻しとその後の施設の管理方法を規定する標準として,2011年2月に“低レベル放射性廃棄物の埋設地に係る埋戻し方法及び施設の管理方法:2010”を発行していますが,前述の法令の改正に伴い,学会標準を改正する必要が生じていますので,5年ごとの標準改定時期に合わせて,この標準のピット処分とトレンチ処分に係る部分の改定を行うことを決め,2014年以降,LLW埋設後管理分科会,原子燃料サイクル専門部会,標準委員会での審議を経て,改定標準の策定を進めてきました。
なお,旧標準では,廃炉に伴って発生する放射能レベルが比較的高い廃棄物を埋設処分する余裕深度処分の埋戻し方法と施設の管理方法についても規定していましたが,これらの廃棄物の処分に関しては,2015年1月から原子力規制庁の“廃炉等に伴う放射性廃棄物の規制に関する検討チーム”において,新規制基準の検討が行われているところですので,その制定を待つこととして,改定対象から除外しています。
このような背景を踏まえ一般社団法人日本原子力学会は,標準の改定版として“低レベル放射性廃棄物の埋設地に係る覆土の施工方法及び施設の管理方法:201X-ピット処分及びトレンチ処分編-”を発行しました。
この標準は,ピット処分とトレンチ処分の二つの処分方法ごとに埋設段階及び保全段階(管理期間内)において求められる廃棄物埋設地の管理における安全確保及びその確認に資することを目的に,段階管理による安全確保の方策,覆土の施工方法,保安のために講ずべき措置(監視,埋設地の保全,定期的な評価等)及び記録などを規定しています。
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一般社団法人 日本原子力学会 事務局 標準委員会担当
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Tel:03-3508-1263 Fax:03-3581-6128
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