一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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【意見公告】79. 原子力発電所の安全性向上のための定期的な評価に関する指針:201*

ご意見の受付

受付期間 : 2014年12月24日 〜 2015年02月23日ご意見の受付は終了しました。

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概要

原子力発電所の安全性向上のための定期的な評価に関する指針:201*は,(一社)日本原子力学会が標準委員会・システム安全専門部会の下に定期安全レビュー分科会を設けて検討を開始し,システム安全専門部会及び標準委員会での審議を経て策定・発行したもので,原子力発電所の安全性向上のための定期的な評価"プロアクティブセーフティレビュー"(ProactiveSafetyReview:以下,"PSR+"という。)における,安全性向上措置を抽出することに関する基本的考え方並びに評価の視点及び実施方法を規定したものです。これまで原子力発電所の安全性の向上を目的とした定期的な評価の枠組みとしては,定期安全レビュー(PeriodicSafetyReview:以下,"PSR"という。)が,平成4年6月に資源エネルギー庁からの要請を契機として開始され,電気事業者はこの通達に対応して,平成6年から順次,PSRを実施してきました。その後,平成20年に原子力安全・保安院が制定したPSR実施ガイドラインの仕様規定として,標準委員会は"原子力発電所の定期安全レビュー実施基準:2009(以下,"PSR実施基準:2009"という。)"を策定し,PSRでの使用実績をフィードバックして,安全性向上措置が抽出され易くなる実施基準に改良していく予定としていました。しかし,平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故からの教訓においては,新知見反映が不十分だったこと,及び外的事象に対する確率論的リスク評価(以下,PRAという)が未導入だったことに関して,PSRが機能していなかったことが指摘されています。さらに,今までのPSRについては,実施したことをレビューする傾向が強く,未だ実施していなかったことを見出すことには至らず安全性向上措置がほとんど抽出されていなかったことが反省として挙げられています。国際的な動向としては,IAEAは,2013年にPSRガイドラインを改訂し,SSG-25として発行しました1)。SSG-25は,14の安全因子によるレビューと総合評価により構成されますが,安全因子のレビューの範囲及び方法が明示されたこと,総合評価を独立させたことが主な変更点となっています。一方,平成25年12月に原子力規制委員会により,新たに安全性向上評価制度が導入され,その制度において,事業者に対し自主的な安全性向上のための措置及び措置を講じたことによる安全性向上の評価を定期的に届け出ることが求められました。上記の状況を鑑み,標準委員会は,今までのPSRで今回の福島第一原子力発電所事故を未然に防げなかった原因を分析し,実効性のある安全性向上措置抽出のための評価に向けた抜本的な改造を行うこととしました。過去10年間の保安活動のレビューに重点を置いて,将来の安全性の見通しを得るのではなく,将来10年間の安全性が世界的に卓越した水準に到達するような改善策を抽出し実施計画をたてることに重点を置くようにしました。事業者が,安全性向上評価制度を利用し,ハードウェア,ソフトウェアも含むマネジメント全体を対象に将来に向けた長期的な視点から継続的に改善を行い,安全性向上をPRAなどの評価により確認していくことを想定し,それらの事業者の活動の導きとなる安全性向上のための基本的考え方や評価の視点,実施方法を示した指針(Guide)として,この標準を位置づけることにし,IAEASSG-25を参照して14の安全因子によるレビューと総合評価を導入しました。従来のPSR実施基準:2009においても,"有効な追加措置"(この標準における"安全性向上措置"に該当)を抽出することとしていましたが,この標準では,将来のプラントの姿を予見し,事前に率先して安全性向上措置を抽出すること(proactive),そして,従来のPSRとは異なり,その安全性向上措置の抽出に重きを置き努力を傾注する形で安全性を向上させる指針であることから,この標準におけるレビューを"プロアクティブセーフティレビュー"(ProactiveSafetyReview:"PSR+")と呼称しています。この指針の策定により,事業者が積極的に改善を打ち出していける実効性のある安全性向上を行える方法を提供できると考えています。

標準案の閲覧

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