【意見公告】108. 原子力発電所の定期安全レビュー実施基準:2009(AESJ-SC-P004:2009)の廃止
ご意見の受付
受付期間 : 2019年11月08日 〜 2019年12月07日ご意見の受付は終了しました。
ご意見と対応
ご意見はありませんでした。概要
<概要> 原子力発電所の定期安全レビュー実施基準:2009 は,一般社団法人 日本原子力学会が標準委員会・発電炉専門部会の下に定期安全レビュー分科会を設けて改定版の検討を開始し,その後,標準委員会の組織改正により新たにシステム安全専門部会が設立されたことから,システム安全専門部会及び標準委員会での審議を経て策定・発行したもので,定期安全レビ ュー(Periodic Safety Review :以下,“PSR”という。)に関して実施方法を規定したものです。 PSR は,1992年6 月に資源エネルギー庁から“既設の原子力発電所の安全性等の向上を目的として約10 年ごとに最新の技術的知見に基づき原子力発電所の安全性等を総合的に再評価”し,結果報告を要請されたことを契機として開始されました。電気事業者はこの通達に対応して,自主的な活動として,1994年8 月に敦賀発電所1 号機,美浜発電所1号機,福島第一原子力発電所1号機について報告書を通商産業省(当時)へ提出して以降,順次,PSR を実施し,報告書を公開してきました。 PSR の意義は,電気事業者の自主的取組も含め,“保安活動の実施状況の評価”,“最新の技術的知見の反映状況の評価”,及び“確率論的安全評価(Probabilistic Safety Assessment:PSA)”を行い,これらの評価の過程で必要に応じてプラントの安全性・信頼性の一層の向上のために“有効な追加措置”を抽出し,その実施について品質保証計画に反映することにより,今後,当該プラントが最新のプラントと同等の高い水準を維持しつつ安全運転を継続できる見通しを得ることです。 標準委員会は,電気事業者のPSR の経験を踏まえ,標準的な基準を提示することは,PSR に携わる人々が共通の理解をもった上で実施していくために,さらには,その他の人々がレビューの結果を理解することを容易にするために有効な手段であるので,PSR の標準的な実施の基準について規定することとし,2006 年に“原子力発電所の定期安全レビュー実施基準:2006”として,初版を制定しました。その後,初版制定時以降における経緯を踏まえるとともに,2008年に経済産業省原子力安全・保安院(当時)が定めた“実用発電用原子炉施設における定期安全レビュー実施ガイドライン”の基本的要求事項を考慮し,2009年に“原子力発電所の定期安全レビュー実施基準:2009”へ改定しました。 <廃止理由> 今般,以下の理由から,当該標準を廃止することとします。- 対象標準は,現在,新規制基準への適合性が確認されていない停止中プラントを対象としたPSRを実施する場合に適用できるものとなっているが,PSRの評価方法は,学会標準によらずとも,事業者で定着している状況にある。事業者からは,対象標準の存続,並びに今後の改定を求めるものではないとの意見を得ている。
- 継続的安全性向上に関わる標準として,原子力学会では2015年に“原子力発電所の安全性向上のための定期的な評価に関する指針:2015(AESJ-SC-S006:2015)”(PSR+指針)を発行している。継続的安全性向上にかかる新知見はPSR+指針に反映していくこととしているため,対象標準を廃止しても問題ない。
- 事業者からは,今後のPSRに対して,従前の評価を繰り返すだけではなく,安全性向上評価やPSR+指針に示されるような新しい評価手法を参考にして取り組んでいく方向性が示されている。