【意見公告】133. 原子力発電所に対する地震を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:20XX
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原子力発電所の地震を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2023は,日本原子力学会が標準委員会・リスク専門部会・外的事象PRA分科会の下に地震PRA作業会を設けて改定を検討し,外的事象PRA分科会,リスク専門部会,標準委員会での審議を経て策定・発行したものです。この標準は,原子力発電所の出力運転状態における地震を起因として発生する事故に関する確率論的リスク評価(PRA)の有すべき要件及びそれを満たす具体的方法を,PRA実施の手順を踏まえて実施基準として規定したものです。
今回の改定は,2015年に発行した“原子力発電所に対する地震を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準(以下,地震PRA実施基準という):2015”が発行後5年を経過したことから改定するものでありますが,改定に当たっては,最新知見を踏まえた地震PRA技術の向上を反映させるとともに,この標準の性能規定化を目指すべく,品質及び透明性の確保がより適切に行われるよう,要求事項の見直しと整理を行いました。また,2020年2月に開催されたASME/ANSのJCNRM(Joint Committee on Nuclear Risk Management)にて地震PRA実施基準:2015の英語版を紹介し,2020年8月末にJCNRMの地震PRAの専門家からASME/ANS PRAスタンダートとの整合性を含むコメントを入手しました。ASME/ANS PRAスタンダートに精通する海外専門家からのコメントの位置づけと趣旨とを踏まえ,判断した上で,必要なものについて今回の改定において考慮しました。
特に,地震動ハザード評価では,専門家活用として,米国で開発された評価体系であるSSHAC(Senior Seismic Hazard Analysis Committee)手法を採用したことが,大きな変更点です。これまでの地震PRA実施基準で採用されていた専門家活用はSSHAC手法を参照しつつ独自に策定された手順でしたが,海外ではSSHAC手法が標準的な手法として使用されつつあること,日本でも伊方SSHACプロジェクトにおいてSSHAC手法適用の実績ができたことを踏まえ,SSHAC手法を明示的に採用することとしました。また,地震PRA実施基準:2015を策定する際,津波との重畳等をPRAで取り扱えるように規定の中に盛り込みましたが,今回はさらに踏み込み,免震型原子力施設・設備,地震による影響に関する個別の扱い及びSFP燃料損傷に対する基本的事項を独立した箇条において規定化することで,これらの考慮の必要性を明確にするとともに,今後のさらなる評価手法の研究,技術開発の進展を促すことを目指しています。これらの影響を評価する具体的な手法の研究,技術開発については,未だ発展途上ではありますが,研究,技術開発が確立されるまで標準の制定を待つことは,2011年の東北地方太平洋沖地震の教訓を踏まえると適切でありません。そこで,免震型原子力施設・設備,地震による影響に関する個別の扱い及びSFP燃料損傷に対して想定される基本的な事項,すなわち,現行の知識・技術で最低限,記載し得る事項だけでも先行して規定化しておくべきと考えました。これらの改定点については,各分野の項目毎に,解説1 制改定の趣旨及び主要な改定点に記載しました。
以上の改定を行った地震PRA実施基準を用いて地震あるいは津波との重畳等のPRAを行うことによって,原子力発電所の安全性を向上させることができるリスク情報を獲得でき,利用目的に応じて決定論的な解析,専門家判断などPRA以外の参考情報と適切に組合せることで,より高度な意思決定ができるものと期待しています。
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一般社団法人 日本原子力学会 事務局 標準委員会担当
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E-mail:sc[a]aesj.or.jp ←[a]を@に置き換えてください
Tel:03-3508-1263 Fax:03-3581-6128
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