一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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理事会だより

経営改善特別小委員会の今年度の取り組み状況

はじめに

本会では、「経営改善特別小委員会」を設置し、収支改善の取り組みを進めています。これまでの様々な対策の効果により、本会の経営状況は改善に向かっています。表1は直近5年間の収支の推移を示しています。2023年度は2300万円程度の黒字化を達成しました。会員の皆様のご協力に感謝いたします。

1 収支の推移

収支の改善には多くの要因があります。図1は主な収益である会費収入の推移を示しています。会費収入自体は、減収が続いていることがわかります。

1 会費収入の推移


会費収入の減少を、論文誌や事業の収益の増加、費用の抑制でカバーし、何とか黒字化を達成したという状況です。特に、論文誌や事業の収益は変動幅も大きく、未だ、安定した経営状況とはいえません。今後も、継続的な経営改善活動が必要です。以下に、最近の経営改善の取り組みを紹介します。

経営改善の取り組み

  • 会員増加への取り組み

新たな会員獲得とともに、会員数の減少に歯止めをかけるために、会員数の多いプラントメーカーの理事から、各社の経営層に入会の働きかけを依頼しました。また、会費未納により退会となった会員への再入会の依頼などを行いました。各社から一定数の新入会の成果が得られました。

学生会員の入会を促進するため、主要大学にアンケートを実施し、一部の大学を訪問、先生方と意見交換を行いました。また、原子力教員協議会や大学教員の理事の方のご意見も伺いました。学生の一番の入会動機は学会発表とのことであり、指導教員が発表する学会を指示・推薦することも多く、その影響も大きいようです。図2は近年の会員数の推移を示しています。全会員数は減ってきていますが、学生会員数は着実に増えてきています。原子力に興味をもつ学生が増加していると考えてもよいのではないでしょうか。今後、いかにして学生会員の入会、学生会員から正会員への移行を増やしていくか、会員サービス委員会とともに、検討、対策をしていきます。

2 会員数の推移


賛助会員増加のため歴代の会長・副会長が企業等への訪問を行っています。また、会の年会大会において、多くの企業や機関様にブースを出展いただいております。事務局職員から、これら出展者様に賛助会員への勧誘を行っています。これらの活動が賛助会員の増加につながっています。また、諸事情により口数減となっていた賛助会員へお願いをし、口数の増加もしていただきました。

原子力発電所の再稼働がすすみ、また、世界のエネルギー情勢の悪化から原子力発電が見直されており、原子力に改めて取り組んでいこうとする企業の方も増えていると感じています。今後も、会員獲得を働きかけていきます。

本会会員とは別に無料で登録できる会友制度を設けています。本制度についても、サービスの充実に努め、本会への入会促進を行っていきます。

  • 各組織の収益性の強化と繰越金の活用

一部の組織は、定期的に国際会議を実施し、収益をあげています。一方、これらの収益事業は赤字となるケースもあり、国際会議運営ノウハウを蓄積することで、収益性の強化を図っていきます。データベース用のサーバーを整備し、各組織の情報共有をすすめる準備をしています。

また、収益で得られた余剰金のうち20%は本会の一般財産となりますが、残りは繰越金として指定財産となり、収益をあげた組織が使える予算となります。従来、この繰越金は上記の国際会議やセミナ―等の収益事業に用途を限定していましたが、組織活動の活性化を目的とし、対面の会議の旅費や学生の旅費補助にも活用できるようにしました。

  • 支出削減

総務財務委員会と連携して、不要な支出の削減に努めています。オンライン会議についてはコロナ禍が落ち着いた後も、引き続き活用いただき、旅費の削減に大きく貢献しています。また、特別枠として設けていた会員獲得・原子力理解活動予算は、一定の役割を果たしたことから、一時中断としました。支部等で、従来より実施いただいているオープンスクール等の原子力理解活動は引き続き支部予算や協金で実施いただいています。

学会誌(ATOMOΣ)の電子化(PDF化)による編集予算の削減を進めています。現在も会員専用サイトでPDF版を読むことができますが、全会員に冊子版も送付しています。冊子版の印刷郵送が収益悪化の一因であるため、冊子版の廃止を検討しました。会員アンケートを行い、学会誌の電子化に関して、多くの方に賛同いただいたことから、20254月より基本的に冊子版を廃止し、PDF版に移行することを決定しました。なお、会費を二種類設定し、希望者には引き続き冊子版の購読もできるようにします。

まとめ

今後も経営改善に努め、本会を持続的に発展させていくことを目指していきたいと思います。会員の皆様には引き続き、ご協力いただきたく、よろしくお願いいたします。

以上

吉岡研一(財務理事 東芝エネルギーシステムズ(株) )