一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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理事会だより

「2024年春の年会」開催実施報告

1.実施概要

 「2024年春の年会」は、2024年3月26・27・28日の3日間、近畿大学東大阪キャンパスにおいて、1285人の有料参加者を得て、盛会のうちに終えることができました。本年会の現地委員会委員長として皆様に感謝申し上げるとともに、以下のように実施概要を報告いたします。

 さて、2日目以降の雨量は少なかったものの、期間中はあいにくの雨で、特に初日は最近の温暖化と言われる気候に反し、3月末らしくない非常に肌寒い中での年会開始となりました。この日程に関しては、近畿大学として年会受入れが数年前に決まっていたものの、入試、大学院修了式、卒業式、原子炉立ち入り検査など、被らせることのできない行事があるため、3月上旬、中旬での施設利用が不可能となり、3月末での開催とせざるを得ませんでした。さらに、年度内での会計処理が難しいこともあり、懇親会も残念ながら見送ることにしました。

 発表会場は、利便性のため、できる限り分散させず同じ建物に集中させること、200~300人程度収容できる大教室を少なくとも5つは確保することを必須条件として、学生数が最大である近畿大学経営学部の施設を使用することとしました。一方で、この建物では、ポスターセッション会場に適した部屋を用意することができず、発表会場から少し離れた「実学ホール」と呼ばれる250人程度を収容できる小規模のホールに総受付、展示会、ポスターセッションの3つを並列で配置することで、ある程度の人を集めることができる場所を確保しました。参加者アンケートでは、発表会場と総受付・ポスターセッション会場が遠い、とのご意見もありましたが、大学としては窮余の策で、個々の会場を探し回る不便さだけでも回避できたのではないかと考えています。

 また、見学会として近畿大学教育研究用原子炉UTR-KINKI、大阪府熊取町の京都大学複合原子力科学研究所の2つのコースを設けました。さらに、今回の年会では、従来の企業展示だけでなく、展示会の出展機関と年会参加学生・若手研究者間の交流・情報交換および就職支援を目的としたキャリア相談会を新たに企画しました。このため、ポスターセッションと展示会を同一会場として、展示会の来場者の増加も図れるよう努めました。

2.一般講演、部会セッションなど

 今回の発表会場としては、A~Mまでの13会場を設定し、一般発表524件、特別講演、部会・委員会セッションおよび総合講演・報告の企画セッションが30件というプログラム構成でした。「2023年秋の大会」の15会場、一般発表665件には及びませんでしたが、春の年会としては昨年、一昨年を上回っており、まずまずの参加者数、講演件数を得たものと考えています。一方で、教室の収容数を上回る出席者となった会場があり、急遽教室を変更するケースがあったことや、初日、2日目において、特に大教室で空調が弱く、非常に寒いというクレームも頂戴しました。空調は、全館でコントロールされており、雨天で急に気温が下がったこと、省エネ設定されていることや普段の学生の数に比べて人数が少ないなどの悪条件が重なりました。不快な思いをされた方々には、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

3.見学会

1)近畿大学原子炉見学会

 年会開催期間の2日目及び3日目の午前と午後において、近畿大学原子力研究所に設置の原子炉を見学する会を計4回開催しました。全ての見学会で定員に達し、合計41名の見学者を受け入れています。見学者には、産業界並びに学術研究機関等の研究者のみならず、学生の参加もいただいています。見学会では、近畿大学原子力研究所の教員が近畿大学原子炉の特徴を解説し、どのような研究活動に利用されているのか、さらに、今後の展望について説明しています。いずれの回でも、説明者と見学者、あるいは、見学者同士による活発な意見交換がなされ、有意義な見学会となりました。

2)京都大学複合原子力科学研究所見学会

 年会最終日の午後、現地集合にて、同研究所の見学会を開催しました。見学者は11名で、大学教員、企業、研究機関の方々に加え、4名の学生にも参加いただきました。13時から研究所概要説明の後、サイクロトロン加速器、京都大学研究用原子炉KURの見学を実施しています。

4.学生連絡会ポスターセッション、企業展示およびキャリア相談会

 ポスターセッションは、学生連絡会主催で、初日の26日に31件、27日に32件の発表が行われました。会場は、前述の近畿大学実学ホールで、総受付と展示会との併設により、展示会への来場者増も図っています。展示会には、積極的に依頼したこともあり、20機関のご参加を得ることができました。今回の展示参加機関数は、これまでの年会・大会で恐らく最多ではないかと思われます。ご参加いただいた企業(組織)の皆様には、厚くお礼申し上げます。なお、この展示会に併せ、本会として初めての試みとして、出展機関と学生・若手研究者の間の就職支援を目的としたキャリア相談会を開催し、展示ブース至近の場所に個別面談用のスペースを設けました。原則として事前申し込み制としましたが、申し込み件数は4件のみで、飛び込みでのキャリア相談や展示ブースにたまたま立ち寄り、そこからキャリア相談に発展した、というケースも多かったように見受けられました。ポスターセッション会場との隣接は、参加者アンケートにおいて、反対とのコメントもわずかにありましたが、圧倒的多数の賛同が得られており、展示会への集客効果に寄与したものと思われます。しかし、大学で行っている企業説明会と全く同じく、展示ブース、あるいはキャリア相談に集まってくれる学生数は、企業ごとで極めて多寡があり、せっかく展示会にご参加いただいたにも拘わらず来場者がほとんど無い、ということも生じていました。今後の改善策を検討する必要がありそうです。なお、キャリア相談会へご参加いただいたエントリー料などを原資として、会場でのコーヒーの無料提供を行いましたが、ポスターセッション、展示会関係の皆様からも大いに好評を得ることができました。

5.その他

 現地委員会対応案件として、託児施設の紹介は好評をいただきましたが、初日に学内食堂2軒のうち1軒で年会開催に伴う昼食提供依頼が現場まで伝わっておらず、食材の不足による提供休止があり、食堂を利用された方には大変ご不便をおかけしたことなど、運営上の不備が多々ありました。大学ごとで事情が異なり、その場その場での対応が求められますが、できる限りの情報を次の現地委員会に引継ぎ、年会・大会の運営が、より円滑になるよう努めたいと思っています。学会事務局には大変お世話になりましたこと、また今回の年会参加者の皆様には厚く感謝申し上げます。

渥美寿雄(部会等運営担当理事、「2024年春の年会」現地委員会委員長)