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- 版型頁数 : A4/119
- ISBN : 978-4-89047-385-4(第2分冊)
- 担当部会 : 炉心燃料分科会
- 発行年 : 2015/10/21
- 版型頁数 : A4/119
- ISBN : 978-4-89047-385-4(第2分冊)
- 担当部会 : 炉心燃料分科会
- 発行年 : 2015/10/21
内容紹介
<まえがきより>
この報告書は,日本原子力学会が,標準委員会システム安全専門部会の下に設けられた炉心燃料分科会において検討し,同委員会及び同専門部会での審議を経て作成したものです。この報告書は,発電用軽水型原子炉における“止める,冷やす,閉じ込める”といった基本的な安全機能に対して炉心及び燃料が担っている役割を明確にし,安全機能を確実にするための設計及び評価の方法を示すこと,また,それを通して炉心及び燃料の安全設計に係る実施基準を策定する際の基礎資料となることを目的としています。
燃料及び炉心の技術者集団である炉心燃料分科会に課せられた使命は原子力の安全性を一層高めていくことにあります。そのためには“炉心及び燃料が安全に設計されている”ということの意味を十分な科学的根拠に基づいて説明する必要があります。この報告書の検討を開始する前,炉心燃料分科会では,十分な安全性を確保しつつより高い経済性を達成することを目的とした炉心及び燃料の技術基準の策定を進めていました。しかしながら,技術基準が妥当であることを判断するには“炉心及び燃料が安全であること”に対する科学的な定義が必要であり,その全てを現行の指針及び基準類から導出することには限界があるとの共通認識に至りました。一方,2011年3月11日に発生した東日本大震災により福島第一原子力発電所の1号機から3号機が重大事故に至り,原子炉燃料の持つ公衆及び環境に対する潜在的な影響力が現実の脅威として世に認識されることとなりました。
そこで,炉心燃料分科会では,それまでの技術基準の策定を一旦中断し,原子炉安全確保の全体像を踏まえた上で炉心及び燃料が果たすべき安全上の役割について改めて確認し,既存の基準類の枠に囚われることなく炉心及び燃料の安全設計の考え方を整理して報告書にまとめることとしました。
報告書の作成に当たっては,読者の利便性の観点から,核設計及び熱水力設計の詳細をそれぞれ独立した資料としてまとめることが望ましいと考え,炉心燃料分科会の下に四つの作業会(燃料の熱機械設計,核設計,熱水力設計,制御棒駆動系設計)を設置して検討を開始し,次の3分冊で構成される報告書を取りまとめました。
・第1分冊:炉心及び燃料の安全設計
・第2分冊:核設計
・第3分冊:熱水力設計
この報告書では燃料棒及び燃料集合体に関する安全設計を“燃料の安全設計”,これに核設計及び熱水力設計をあわせて炉心全域を対象とした安全設計を“炉心の安全設計”と呼びます。第1分冊では,炉心及び燃料の安全設計全体の枠組みを示しますが,主として熱機械設計の観点から損傷モードの抽出及び安全機能を維持するための要求を展開し,さらに,評価対象とすべき事象の選定を行っています。第2分冊では,第1分冊で整理された損傷モード及び評価すべき事象から出発し,これらの評価を実施するために必要となる核設計パラメータ及びそれらへの要求事項を整理しています。制御棒駆動系設計については,設計の対象範囲である機能及び性能,構造設計及び材料設計のうち,燃料に直接関連する機能及び性能を第2分冊に含めることとしました。第3分冊では,核設計の結果を入力として実施される熱水力設計について,バウンダリの健全性(すなわち,閉込め機能)を確保するために“冷やす”との観点から要求事項を整理しています。
なお,ここで留意していただきたいことは,熱機械設計(第1分冊),核設計(第2分冊)及び熱水力設計(第3分冊)が独立に実施されるのではなく,それぞれの結果(出力)が他の入力となる点です。炉心及び燃料の安全設計は,これらの分野が相まって達成されているのです。これらの3分冊では,炉心及び燃料が安全に設計されていることの意味,並びにそれを達成するための方法と判断の基準が示されています。
この報告書は,原子力規制委員会及び日本原子力学会標準委員会における今後の活動において有用な情報を与えるものと期待されます。また,電力会社やメーカの技術者にとって,燃料設計を進める上で拠り所となる体系となっています。さらに,大学などの機関の研究者,大学院生などにとっては,体系的かつ詳細に燃料安全が記述された教科書として機能すると期待しています。この報告書の我が国の原子力安全への貢献を切に願います。加えて,炉心及び燃料の安全設計の考え方を広く普及させ,技術系,非技術系を問わず多くの方々の理解を助けるものとなれば幸いです。