一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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理事会だより

国際活動の活性化に関する取り組み状況

1.はじめに

 国際活動委員会は、本会の理事会のもとにある13の常置委員会の一つであり、文字通り国際的な活動を進める委員会となります。当委員会のミッションは、海外学協会との協定、国際活動の財務、国際原子力学会協議会(INSC)の運営、環太平洋原子力協議会(PNC)の運営、国際会議の開催、学生交流事業、外国学会などとの国際交流等の国際活動に関する基本的事項であり、現在も多岐に亘る活動を行っています。

今回は、その中から海外学協会との協定の更新状況と本協定の活用の検討状況について紹介します。

2.海外学協会との協定の状況

 海外学協会との協定では、技術交流の活性化、相互の会議の参加の奨励等に同意しています。現在、米国原子力学会(ANS)、フランス原子力学会(SFEN)、カナダ原子力学会(CNS)、韓国原子力学会(KNS)、ハンガリー原子力学会(HNS)、チェコ原子力学会(CNS)、オーストラリア原子力協会(ANA)、英国原子力学会(NI)、カザフスタン原子力学会(KSK)、インド原子力学会(INS)10の海外学協会との協力協定更新を終え、中国核学会(CNS)、ベトナム原子力学会(VNS)、マレーシア原子力学会(MNS)、モンゴル原子力学会(MNS)4学協会と協定更新手続き中であり、原則5年ごとの更新を行っています。

 また、国際活動委員会内に国際協定ワーキンググループを設置し、海外学協会との協力に関する学会内の整備を推進するとともに、海外学協会との協力の状況を確認し、今後の国際協力・交流の推進に必要な事項を検討しています。その結果を受けて、協定更新のための海外学協会との連絡を進め、順次更新手続きを進めています。今後は、本協定に基づいた実効的な活動内容や海外連携に係る戦略について、国際活動委員会内で議論を進めていきたいと考えています。

3.国際活動の活性化に関する新たな取り組み

 協定を締結した海外学協会とは、協定の中で互いに主催する会議(年会等)への無料参加枠が認められています。ここで、無料参加枠とは、先方の学協会が無料で受け入れる(会議の参加登録料が無料)枠(最大2名)を意味します。協定では、その対象は役員あるいは代表者となっています。そのため、協定学協会からの講演依頼等で招聘された場合等、本会を代表して参加する場合はこれを優先することになります。

 役員相当に参加予定がない場合は、学会員に参加の機会を与えることが有効と考えています。上記参加無料枠の利用については、これまで明文化されていなかったため、国際活動委員会の「協定学協会主催会議への無料参加枠の利用細則」(202312月制定・20242月改定)として制定しました。本件を広く本会会員に周知し、有効に活用いただくための1つの試みとして、今回、海外学協会との国際協力・交流の促進を目的として、原子力・放射線関連分野において優れた活動をおこなっている研究者・技術者に対し、協定を結んだ海外学協会主催会議(年会等)への無料参加枠を利用して、会議への参加を支援することとしました。これに関しては、近日中にHP上で募集を開始する予定です。

 海外学協会との協定更新後にどのような活動を行うかが重要であることから、海外学協会との協定更新の状況について部会等運営委員会等を通じて部会や委員会等へ広く周知して、部会等の活動との連携の検討の一助としていただきたいと考えています。また、国際関係活動に関連して新たな展開を検討している場合は、部会等で抱えずにぜひ海外協定WGあるいは国際活動委員会にご相談いただきたいと考えています。

4.おわりに

 ウクライナ問題も含めてエネルギー問題に対する原子力のあり方、カーボンニュートラルに係る原子力の安全性・信頼性の確保や革新炉のあり方等の課題に対して、学会としてどう認識し、対応していくのかが重要な課題となっています。国際活動委員会は、これらの課題を海外学協会と共有・連携して活動していく接点の役割を有していることから、Net-Zeroを主要なテーマとする今秋の環太平洋原子力会議の開催への協力など、理事会等と密接に連携していきます。また、会員の皆様のご意見も聞きながら、これらの課題に関する議論を進めていく所存です。

ここでは、本会と海外学協会との協定の更新状況と国際活動の活性化に関する新たな取り組みをご紹介しました。あくまで1つの試みですので、会員皆様のご意見等をいただき、内容等を継続的にブラッシュアップし、さらなる国際活動の活性化につなげていきたいと考えております。

 今後も理事・委員一体となって、国際活動をより実効性なものにするために活動を推進していきます。会員の皆様からの暖かいご支援・ご協力をお願いします。

加治 芳行(国際活動委員会委員長、日本原子力研究開発機構)