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- ISBN : 978-4-89047-435-6
- 担当部会 : システム安全専門部会
- 版型頁数 : A4/70
- 発行年 : 2022/3/14
- ISBN : 978-4-89047-435-6
- 担当部会 : システム安全専門部会
- 版型頁数 : A4/70
- 発行年 : 2022/3/14
内容紹介
<まえがきより>
原子炉内を流れる冷却材が水-蒸気2 相流の状態で炉心を冷却する沸騰水型原子力発電
プラント(BWR)では,炉心内における蒸気生成と圧力損失との相互作用に起因する熱水
力的な要因,さらにはこれにボイド反応度フィードバックに起因する核的な効果が重畳し
て,冷却材流量及び中性子束が振動的な挙動を呈する核熱水力不安定を生じる可能性があ
ります。もちろん,核熱水力不安定が発生しても,冷却材流量及び/又は中性子束の変動が
過大とならなければ,燃料の健全性が維持され,原子炉の安全性に影響が及ぶことはありま
せん。事実,これまでに原子炉で発生した核熱水力不安定で,事象が収束した後に,燃料の
健全性に影響が認められたことはありません。しかし,核熱水力不安定が原因となって原子
炉スクラムに至った例があることから,核熱水力不安定は原子炉の通常運転に影響を及ぼ
し得る安全上重要な現象と言えます。このため,中性子束などの変動に十分な減衰特性をも
たせて核熱水力安定性を確保することは,原子炉の高い安全性及び安定した出力の運転を
実現する上で重要です。
このような背景の下,社団法人日本原子力学会(当時)では“BWR の核熱水力安定性評
価基準:2007”を2009 年1 月に発行し,核熱水力不安定が生じないようにBWR を設計す
るための核熱水力安定性の判断基準及びその解析手法を規定しました。この標準で対象と
しているBWR の核熱水力安定性の解析手法は,1960 年代に開発された手法をベースとす
る成熟した技術ですが,次世代を担う原子力技術者への技術伝承を意識して,様々な世代の
技術者が議論を交わし,この標準の信頼性及び使いやすさの向上に努めました。具体的には,
適用範囲の明確化,核熱水力安定性の解析手法の明確化,その評価結果の保守性を担保する
ための方策の明確化,運転上の設計基準の合理化,用語及び定義における記載の充実,標準
の構成の見直しなど,多角的な観点で改定しました。
“BWR の核熱水力安定性評価基準:2021”は,旧版と同じく一般社団法人日本原子力学
会が標準委員会システム安全専門部会BWR 熱流動評価分科会,同専門部会,同委員会での
審議を経て制定したものです。これまでに得られた知見に基づき,BWR において炉心内で
核熱水力不安定に起因する中性子束,冷却材流量などの振動が発生しないように,又は振動
が発生しても直ちに収束するように,十分な減衰特性をもたせて原子炉を設計する場合に
使用する判断基準及び適用する解析手法を規定した標準です。
AESJ-SC-P007:2021 には次に示す附属書があります。ただし,附属書(参考)は標準の
一部ではありません。
附属書A(参考) 核熱水力安定性の評価手法を用いた安定性評価
附属書B(参考) 炉心及び燃料の安全設計に適用する場合の考え方
附属書C(参考) 運転上の設計基準の取扱いに関する考え方
附属書D(参考) 核熱水力安定性の解析手法
附属書E(参考) 核熱水力安定性の保守性の考え方