本書は、1999年より4年間にわたって活動した「水化学最適化」研究専門委員会の活動成果をとりまとめたものであり、「原子炉水化学ハンドブック」の内容を一部含んだものとなっている。「原子炉水化学」研究専門委員会において、水環境と燃料被覆管の相互作用の問題の重要性に鑑み、これを燃料の専門家と共同で調査研究するZWIS(Zircaloy Water Interaction Study Working Group)は当委員会においても継続し、さらに、水化学とその周辺分野との連携に関する調査研究するSWIS(Structural Materials Water Interaction Study Working Group)を新たに立ち上げ、両活動の成果も盛り込んでいる。水化学技術は、原子力発電プラントの(1)材料の健全性の確保、(2)燃料の健全性の確保、(3)被ばく低減、(4)廃棄物発生量の低減を目的としたものである。これらの技術オプションの選択に当たっては、求められる要件と技術オプションの間で最適化を図ることが極めて重要であり、この最適化の過程は、プラントの設計や運転状況の相違、さらには費用対便益比などを考慮する必要がある。本報告書では、技術オプションが適用された実プラントにおけるデータについても報告している。