一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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原子力発電所に対する断層変位を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2021 (AESJ-SC-RK009:2021)

1732

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23,650円
注文番号 1732-1

登録情報
  • ISBN : 978-4-89047-434-9
  • 担当部会 : 外的事象PRA分科会/断層変位PRA作業会
  • 版型頁数 : A4/328
  • 発行年 : 2021/8/31
19,250円
注文番号 1732-2

登録情報
  • ISBN : 978-4-89047-434-9
  • 担当部会 : 外的事象PRA分科会/断層変位PRA作業会
  • 版型頁数 : A4/328
  • 発行年 : 2021/8/31
内容紹介

 

<まえがきより>

原子力発電所に対する断層変位を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2021は,日本原子力学会標準委員会がリスク専門部会の下に外的事象PRA分科会,断層変位PRA作業会を設けて検討し,リスク専門部会,標準委員会での審議を経て制定・発行したものです。原子力発電所の出力運転状態における断層変位を起因として発生する事故に関する確率論的リスク評価(断層変位PRA)の有すべき要件について,PRA実施の手順を踏まえて実施基準として規定したものです。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに続く津波によって環境に放射性物質が放出される事態に至った福島第一原子力発電所事故を契機に,個別の原子力発電所において重要なハザードを同定し,安全性向上に関わる意思決定を適切に行う上で,決定論的な評価を補完するものとして,PRAをはじめとするリスク評価から得られる情報を活用することが重要かつ必要であるとする認識が広く共有されるようになりました。

この標準では,起因となる外的事象として断層変位を対象としています。

我が国は地震国であり,その地盤の成り立ちから多くの断層が存在しています。そのため,高い安全性が求められる原子力発電所の設置に際しては,詳細な地形・地質,地盤,地震等に関する調査・検討が行われております。しかしながら,“想定外”を可能な限りなくすという観点から,原子力発電所の施設近傍で活断層が活動した場合等において,重要施設設置地盤にある断層の位置で変位が生じて,原子力発電所の機能に影響が生じる可能性とその影響について,定量的なリスクを評価できる手法を整備しておくことは重要です。そして,そのような手法に関する標準を迅速に制定することは,標準委員会の活動として重要なことであると考えています。

断層変位に関して,ハザードの評価のみならず,施設のフラジリティ評価及び事故シーケンス評価も含めて,PRA等のリスク評価を実施して,安全設計,運転管理,アクシデントマネジメント策等,及び,それらに対する安全規制による確認を含む工学的対処の有効性について検討するとともに,残存するリスクを把握し,安全性向上対策等に関わる意思決定に活用していくことが必要です。

以上の認識の下,日本原子力学会として,“AESJ-SC-RK009:2021原子力発電所に対する断層変位を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2021”を制定しました。

制定に際しては,断層変位のハザード評価に加えて,特に近年の断層変位に対する施設のフラジリティ評価及び事故シーケンス評価に関わる研究開発の進展を踏まえ,断層変位PRAを実施する場合の考え方,満足すべき要件,具体的な方法等について,関連する分野の専門家の参画を得た分野横断的な調査検討を行うことによって,最新の知見の体系として整理しました。

産業界,規制機関等の関係者において,この標準に基づく断層変位PRAの実施等,断層変位に対する原子力発電所の安全性を客観的に分析することが進められることによって,継続的な安全性向上を効果的に実現するための共通の基盤が形成される一助になると考えています。